こんにちは。
@OfficeTAKUです。
2019年3月23日 朝日新聞の朝刊にこんな記事が掲載されました。
「原発支援へ補助制度案 経産省、2020年度創設めざす [東日本大震災8年]」
経済産業省が、原発で発電する電力会社に対する補助制度の創設を検討していることが分かった。温室効果ガス対策を名目に、原発でつくった電気を買う電力小売事業者に費用を負担させる仕組みを想定しており、実現すれば消費者や企業が払う電気料金に原発を支える費用が上乗せされることになる。2020年度末までの創設をめざすが、世論の反発を浴びそうだ。
(後略 引用者 )
3.11からの復興、本当に進んでいるのか?いったい支援とはなんなんだろうか?
考える上での参考になるドキュメンタリーを アマゾンプライムビデオで見つけました。
3.11 メディアが語らない真実 被災地の水産加工業 経営者たちの戦いの記録
3.11の被災地の水産加工業の経営者が復興に挑む姿を描いたドキュメンタリー作品です。
制作は、有限会社SORA1(有限会社ソラワン)。
代表の田中敦子さんは、円谷プロ創設時からウルトラQなどにスタッフとして参加。その後もずっと映像の世界で制作、プランナーとして活躍されてきた方です。
普段、テレビ番組や企業VPなどを手がけておられますが、この『3.11 メディアが語らない真実 被災地の水産加工業 経営者たちの戦いの記録』自社制作作品。
第1段 前編 は震災後数ヶ月後のまもない時期に制作されたもの。
第2段 後編 は、震災から5年後の姿を画いたものです。
DVDが発売されています。
第1段は、DVD5巻(各巻40分〜50分)と総集編(75分)
第2段は、DVD1巻(60分)
Amazon Prime Video では、再生時間 前編 41分、後編 59分と記載されていますので、第1段にあたる前編はダイジェスト版になっているのかと思います。
DVD詳細については有限会社ソラワン公式サイトでご確認ください。
https://www.sora1.tokyo/
『3.11 メディアが語らない真実(前編) 被災地の水産加工業 経営者たちの戦いの記録』
『3.11 メディアが語らない真実(前編) 被災地の水産加工業 経営者たちの戦いの記録』
前編は震災後呆然としながらも再建へ向かって動き出す経営者の姿を捉えています。
もちろん現実は困難に満ちたもの、
何もかも流されてしまった経営者たち。
支援事業として打ち出された「第一次グループ補助金」という制度に希望を託します。国が50%、県が25%、残り25%を負担するという補助金制度です。
「第一次グループ補助金」はその名の通り、複数の企業が共同してグループを作り申請しなければならないといもの。申請までの短い期間でなんとか申請したものの大企業が中心で結局は申請がおりませんでした。
経営者からは、「全部で何社申し込んだかわからないが結局中小企業は1社も取れない状態。10何社が取れたがみんな大手企業。我々のような小さな会社は見向きもされないというのが今回の現実」、「初めからデキレースだったんじゃないか」という悔しい言葉が漏れます。ようやく「第三次グループ補助金」で申請が通るものの工場の再建には困難が。建設資材の価格が高騰「震災前コンパネ1枚 200円だったものが2,800円」、さらに、人手不足で工事は進まず、働き手も不足するという状況。
それでも、この前編では、困難ではあれども、工場を再建し希望を持って未来を見据えている姿が描かれています。
宮城県のグループ補助金については下記のページに詳細があります。
グループ補助金に関するお知らせ – 宮城県公式ウェブサイト
破綻する業者も
この前編に登場する石巻市「猪又屋」さん。
日本テレビのTV番組、宮川大輔さんがMCを努め各地の特産品紹介する番組「満天★青空レストラン」にも登場されていました。
前代のお父様から継いだ爽やかな若社長さんが出演していた放送を目にしていました。
この前編でも元気な姿で、不安も抱えつつ、再建へ向けて奮起する姿をみせてくれていました。
前編を見た後、「猪又屋」さんの商品をみたくて検索したところ、商品が販売されているグルメサイトなどでは商品は掲載されているものの「ただいま取り扱いしておりません」といった表示です。Twitterで下記のツイートに行き当たります。
2018年11月26日のツイートです。
【商品販売に関するお詫び】
弊社商品の販売に関しまして、突然ではございますが、本日をもちまして販売を終了させていただくこととなりました。
これまでご利用いただきました皆様に、心より感謝申し上げますとともに、大変なご迷惑をおかけいたしますことを心よりお詫び申し上げます。— 猪又屋 (@inomataya) 2018年11月26日
一体、どうしたのだろう、と更に検索すると…
水産加工業の猪又屋(宮城県石巻市)は7日までに事業を停止し、事後処理を代理人に一任した。同社は東日本大震災後、グループ化補助金で工場を再建した。代理人によると、負債額は約2億円。
(中略 引用者)
震災の津波で賃貸していた工場が被災し、事業を停止。グループ化補助金2億9000万円などで12年に工場を再建しインターネット販売も展開したが、業績好転の見通しが立たず資金繰りが限界に達した。
『3.11 メディアが語らない真実(後編) 被災地の水産加工業 あれから5年』
『3.11 メディアが語らない真実(後編) 被災地の水産加工業 あれから5年』
石巻「猪又屋」さんの倒産を知り、陰鬱な気持ちで後編を観ました。
再建にいたるまでの苦闘の様子を語る経営者たち。
工場の建築にあたって、行政が嵩上げを義務付けながら「行政から答えがでてこないので自分である程度結論を出した」「頼むから邪魔しないでくれという心境になってきた」「道路だけ嵩上げして排水口とか全部埋めてしまった。」そのため建物の中が水浸しになる、という事態も。
しかし、試行錯誤しながらなんとか続けている経営者もいれば、販路を海外へも伸ばし、さらに飛躍を目指す経営者もいました。「猪又屋」さんは若社長が登場せず、常務取締役であるお母様が登場し、今は自分が実質経営をになっていること、自社商品の売上が伸びず、工場では他社の委託生産でなんとか持ちこたえている、けれど「いつまで持つか」という意味の言葉も。
同じ倒産という経験をしている私には本当に辛く、身につまされる思い出みていました。お元気でいてくれればよいのですが。
まとめ
冒頭の新聞記事に戻ります。
被災した多くの中小企業、個人は未だ苦境に立たされているのが現状です。
一般のメディアではあまり大きく取り上げられないために知りえませんが、地元紙などでは下記のような記事があります。
- <東日本大震災>被災中小無利子貸し付けの返済本格化 宮城の水産加工業者苦境、猶予の延長訴え | 河北新報オンラインニュース
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全商連[全国商工新聞] 東日本大震災 国・県の補助金返還迫られる=宮城・石巻民商
3.11でその恐ろしさを顕にした「原発」、未だに推進、そして事業者はなんとか救おうとするこの国。
そうした政策のもとで、多くの人々が苦しめられている現実。
そんなことをこのドキュメンタリーは教えてくれました。
ぜひ、多くの方にみていただきたい作品です。
最後に、このドキュメンタリーに登場した水産加工業社のサイトへのリンクを掲載しておきます。
一度は現地に足を運んでみたいです。
特に、木村商店のがんばっているお母さんに会いたいなぁ、と思います。
- いか徳利の木村商店
https://tokkuri.co.jp/ - 福寿水産株式会社
http://www.fukujusuisan.co.jp/ - カネコの笹かま
https://www.sasakama.info/ - 気仙沼鹿折加工協同組合
https://www.shishiori.jp/