養父の死去から2ヶ月弱経過し、ようやく「遺言書の検認」が終了しました。
遺言書の検認について、申立から検認までの注意すべきポイントなどをまとめてみました。
「遺言書の検認」とは
養父が亡くなってすぐに何をしなければいけないか、調べたところ、遺言書に関しては「遺言書の検認」というものが必要だと知りました。
検認とは,相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに,遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。
出展:裁判所|遺言書の検認
公正証書遺言以外の遺言書は必ず検認が必要となるそうです。
封がしてあるものは、検認の際に相続人や裁判官立会のもと開封する必要があるそうです。
養父の遺言書は封筒に入ってはいましたが封はされていませんでした。
封がされていなくとも検認は必要です。
遺言書の存在を知るまでの経緯
参考までに今回、養父の遺言書の存在を知った経緯を記しておきます。
養父の遺言書は、北陸銀行のセーフティケース(貸金庫の簡易版。現在は廃止され貸金庫のみ)に保管されていました。
数年前、セーティケース廃止に伴い貸金庫への移行の案内があったものの、そのままでした。
銀行へ問い合わせたところ、貸金庫とは違い、本人が立ち会わない場合は手続きがかなり面倒になる、とのことでした。
養父はアルツハイマー型認知症でもあり、本人が元気で動けるうちに、とようやく今年3月に平日に休みをとり、妻と伴に養父を伴って銀行を訪れました。
預けてあったものは、遺言書、尊厳死宣言書、不動産の権利書など。
その時点ではどんなものが入っているかざっと確認しただけで、保管しておきました。
まさかこんなに早く必要になるとは思いませんでしたが、事前に手元においておくことができたのは幸いでした。
教訓:遺言書はしっかりと引き継げるようにしておく
もし死後になって、セーティケースの中身を、となっていたら、さらに手続きに時間がかかってしまっていたことになります。
公正証書遺言がベストです。
それ以外の場合は、本人が亡くなったあと、残された家族、手続きをする人がすぐに手にできるようにしておく必要があります。
貸金庫であれば、キーや暗証番号など、自分の死後、手続きする人に正確に伝わる必要があります。
「遺言書の検認」手続きの流れとチェックポイント
ここでは私が実際に「遺言書の検認」を行うにあたっての体験を元に記しておきます。
- 法定相続情報一覧図を取得する
- 「遺言書の検認」の申立を管轄の家庭裁判所へ行う
- 「遺言書の検認」の日程調整を行う
- 家庭裁判所より「遺言書の検認期日通知書」が届く
- 遺言書の検認期日に家庭裁判所にて検認が行われ検認証明書が発行される
事前準備:法定相続情報一覧図を取得しておく
養父が亡くなったのが10月2日(火)
わけも分からぬまま葬儀社に連絡し、通夜を4日(木)、葬儀を5日(金)とこなしました。
翌週 5日(月)からその後の手続に動き始めました。
市役所への手続きのあと、「遺言書の検認」について電話で家庭裁判所へ確認しました。
Webでほぼ分かるのですが、「連絡用の郵便切手」については枚数の記載がなく、直接問い合わせる必要がありました。
そこで教えてもらったのが「法定相続情報証明制度」「法定相続情報一覧図」の存在でした。
法定相続情報証明制度について、法定相続情報一覧図を交付してもらうまでの経緯については下記の記事にまとめてあります。
[clink url=”https://office-taku.com/201811/diary/11330.html”]
養父の出生から死亡までの戸籍謄本を収集するのに時間がかかりました。
記事にもある通り11月14日に法定相続情報一覧図を手にし、翌日15日に「遺言書の検認」申立を行いました。
「遺言書の検認」申立人の要件
・遺言書の保管者
・遺言書を発見した相続人
今回は私が申立人となりました。
2番目の「遺言書を発見した相続人」となります。
結婚する時に養子縁組をしてあったので、私が申立人となって動くことができました。
「遺言書の検認」申立に必要な書類と費用
今回の我が家の場合は相続人が4人。
内訳は、養母(被相続人(遺言者)の妻)、子x2人(妻と義姉)、養子(私) でした。
要するに妻と子のみなので、一番シンプルなパターンです。
必要となった書類、費用は次の通りです。
- 申立書(家事審判申立書)
- 相続人一覧(当事者目録)
- 収入印紙 800円
- 郵便切手 82円x8枚
- 法定相続情報一覧図
上記「家事審判申立書」「当事者目録」の書式は下記のページからダウンロードできます。
裁判所|遺言書の検認の申立書
上記を揃えて受付に提出。
法定相続情報一覧図を取得していない場合は下記が必要となります。
1. 遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
2. 相続人全員の戸籍謄本
「遺言書の検認」申立書と相続人一覧作成のポイント
先述の書式ダウンロードページに記載例がありますのでほぼそのとおりで大丈夫です。
申立書(家事審判申立書)で書き換えたのは
「申立ての理由」欄の
1.を先述した経緯に基づいて簡単に記述
2.の記載例では「遺言書(封印したもの)」とありましたが、封印していなかったので、ただ「遺言書」としました。
注意すべきは「相続人一覧(当事者目録)」
記載例だと、申立人が相続人と思われるのに別紙「相続人一覧」は申立人の甲野一郎さんからではなく、甲野次郎さんから始まっています。
「むむ、これは申立人は相続人の中には書かないのか」と思って他の3人だけ書いておきました。
しかし、「申立人も相続人であれば、別紙にも記載しなければいけない」のです。
受付で記載して無事受け付けもらえました。
「遺言書の検認」申立書へ収入印紙は貼付せずそのまま提出
記載例には収入印紙が1枚貼付された形になっています。
収入印紙は800円がなく、400円2枚になります。
貼ってもよいのかもしれませんが、貼らずにそのまま渡しました。
その方が無難だと思います。
「遺言書の検認」期日の調整・決定
11月15日の午前中に申立をしました。
その日の午後に家庭裁判所から「最短で11月28日(水)の午前11時からになりますが、いかがでしょう?」と電話連絡があり、承諾しました。
「遺言書の検認期日通知書」が相続人全員に郵送で届く
それから程なくして家庭裁判所より「遺言書の検認期日通知書」が相続人全員に届きました。
通知書は裁判所の書記官名で発行されており、
事件番号から、期日、場所、当日の持参物、備考(出席は任意であることなど)が記されています。
申立人の出席は当然必須ですが、他の相続人の出席は任意です。
「遺言書の検認」期日当日の流れと持参物など
当日に持参するものは「遺言書の検認期日通知書」に書かれています。
- 遺言書の検認期日通知書
- 遺言書
- 認印(申立書に使用したもの)
- 収入印紙150円(100円と50円)
- 身分証明書
その後の流れは、
- 受付
通知書と身分証明書(免許証)を提示、収入印紙を渡し、受付の書類(検認後の証明書受け取りの領収書を兼ねたもの)に住所、氏名、捺印します。 - 検認が行われる家事審判廷へ移動
書記官の方が「家事審判廷」へ案内してくれました。8畳ほどの室内には楕円のテーブル、机上には「裁判官」記された三角のネームプレートが置かれています。
しばらくお待ち下さいと書記官の方は一旦退出 - 裁判官入廷・検認
しばらく待っていると、裁判官と書記官が入廷されます。挨拶の後、
裁判官は、まず申立の理由を読み上げ、間違いないか確認されます。
持ってきた遺言書を裁判官にお渡しします。
遺言書をてにとり「白の二重封筒、封印はなし、印鑑はなし、黒のボールペンにて記載」など、遺言書の状態を言葉にしながらチェック。
「表と裏に書かれている筆跡は遺言者のものですか?」との質問、「間違いありません」と私。
遺言書を封筒から出し、「A4 の罫線入りレポート用紙に黒のボールペンにて記載。印鑑あり」などまた状態を言葉にしながら確認していきます。
遺言書の1枚目と2枚めにしてあった割り印をあわせて確認などし、そのあと私に遺言書と封筒を渡し、印鑑が本人のものかどうかを確認して、検認は終了。
ものの5分もかかりませんでした。 - 証明書の受領
検認が終了し裁判官と書記官が退出、しばらくまつように伝えられました。
待つこと5分〜10分ほどだったでしょうか?
書記官が再度こられて証明書を手渡してくれました。
また、申立時に収めた82円切手8枚のうち、使用しなかった4枚が返却されました。
「遺言書の検認」証明書
封筒、遺言書、証明書 の順で重ねられ、一辺がホッチキスでとめられています。
証明書には下記のような文言がしるされています。
平成30年(家) XXXX号 遺言書検認申立事件
証明書この遺言書は平成30年11月28日検認されたことを証明する。
平成30年11月28日
金沢家庭裁判所
裁判所書記官 ◯◯◯◯ 印
証明書と遺言書の折り目に割り印がおされていまし。
検認自体はあっけなく終了。
ようやくここまでたどりつきました。
まとめ
遺言書の検認自体は特に難しいものではありませんでした。
もちろん、今回は相続人も少なく、意思の疎通がはかれているからです。
残された人のためには有効な遺言書をしっかりと残し、とまどいやあらそいのないようにしておかねばならない、とあらためて感じました。
ここに記した情報はあくまでも執筆時点、私の状況でのことですので、詳細は下記の裁判所のページにてご確認下さい。
裁判所|遺言書の検認