こんにちは。
野々市市民 @OfficeTAKUです。
自分自身も含めて高齢化社会の問題は避けて通れません。
先日、養父が90歳で永眠したばかり。
しかし、実母も養母も二人とも元気で施設で暮らしています。
そんなこともあり、高齢化社会、これからの暮らし、対応、どうしたらよいのか考えを巡らせていました。
野々市市民カウンセラーの会「ほわっと」2018年度・第3回研修会
そうしたところに、野々市市民カウンセラーの会「ほわっと」2018年度・第3回研修会の案内が届きました。
タイトルは『超高齢社会を生き抜く知恵』 –Psitive Psychologyの知見も加えて– てです。
2018年12月8日(土) 10:00 〜 12:00
講師は、金沢工業大学 心理学研究所 松本かおり 先生。
会場は、ののいち コミュニティFM えふえむエヌ・ワン
『超高齢社会を生き抜く知恵』 –Psitive Psychologyの知見も加えて–
野々市市民カウンセラーの会「ほわっと」は、野々市市民カウンセラー連続講座で「傾聴」を学んだ方たちが立ち上げた会。
そのため、松本先生のお話しの内容もその会の内容に沿ったものになっています。
もちろん、私にも充分役立つものでした。
冒頭、世界の平均寿命ランキング、国内の自治体別の平均寿命ランキングの話から。
2016年の世界保険統計 ではなんと1位が日本 83.7歳
国内では2015年厚労省の調査では1位男性が神奈川 83.3歳、女性が沖縄89歳
野々市市は女性が5位 88.6歳です。
男性は上位50位に入っておらず、気になったので今調べたら81.8歳でした。
やはり女性にはかないません。
と、平均寿命が伸びている日本ですが、
世界幸福度ランキング 2018で 日本は 54位!
まぁ、いまの社会みていたら納得できる数字ではあります。悲しいけれど。
well-being
そんな話題から本題へと入りました。
これからの高齢化社会で重要なこと。
いかに最後まで自分なりに「幸せ」といえる人生を送れるか?
その自分なりの「幸福」を well-being という概念であらわす。
たとえ認知症を発症しても、それは病気であるなしには関係がない。
自分の状態を受け入れて前向きに暮らしていける、というような状態である。
傾聴こそが重要
「傾聴」こそがケアする側に必要であり、「傾聴」により介護の質が変わる。
認知症で何度も同じ話をする高齢者に対しては、否定してはいけない。
平松類『老人の取扱説明書』で著者が提案している方法として、
敢えて1日に何回も同じ話をしてもらう→記憶に残りやすい
その話をしだしたら、何かセットで行動してもらう(例えば「どくだみ茶」を出し飲んでもらう など)→記憶が定着
などを紹介して下さいました。
臨床心理士の古宮昇さんによれば、
高齢者の同じ話を何度も聴くのは大変だが「傾聴」し高齢者の気持ちを受けとめてほしい。
傾聴されることによって、話し手は自分の存在価値を高め、生きてきた意味を感じ取ることができる。
とのこと。
そして、傾聴が重要なことの例として1本のTEDのスピーチを紹介して下さいました。
プレゼンターのソフィー・アンドリュースは少女の頃、ヘルプライン「サマリタンズ」へ電話をし傾聴されることで自ら助けられた方。
その後、「サマリタンズ」で傾聴する側にまわり、統括責任者も努めたのち、現在は「ザ・シルバー・ライン」という老人専用のヘルプセンターを立ち上げ高齢者の支援をしている方。
Positive Psychologyの効用
では、自分なりに幸福な状態、well-beingになるにはどうしたらよいのか。
Positive Psychologyの効用が注目されているとのこと。
その例として、紹介してくださったのが Nun Study (修道女研究) の研究結果。
アメリカのノートルダム教育修道女会に所属する修道女678人を対象とした、加齢とアルツハイマーに関する研究。
その研究によると、若い20代の頃に書いた日記などを分析すると、ポジティブな言葉を書き綴っていた人たちの生存期間が約10年も長かったとのこと。
これから well-beingを向上させるためにはポジティブな考え方をしていくこと。
手っ取り早いのはポジティブ考え方をする人と付き合っていくこと。
ということで、約2時間弱。楽しく学ぶことができました。
しかし、20歳の頃、ポジティブな考え方はしていなかったので、もしかしたら、早死にするのではないかと心配になりました。
なんて、まぁ、なるようになるとポジティブに考えています。
松本先生のお話しの後は、金沢工業大学の学食でランチをとりながらの茶話会。
「ほわっとの会」のみなさんの実践報告や今後の活動についてなど話しがはずみました。
久しぶりに多くの人とお会いして刺激になりました。
学習メモ
well-being や Positive Psychology など、初めて聞く概念だったので、調べた結果を付記しておきます。
Nun Study
先述した通り ノートルダム教育修道女会の協力で、75歳から106歳までの678名の修道女本人の承諾を得て始まった壮大な疫学研究。加齢と健康、特にアルツハイマー病に関する研究が行われています。
Nun Studyに関してはあまり日本語の文献などがありません。
英語版のウィキペディアには記述があります。
TED リサ・ジェノバの「アルツハイマー病を予防するために出来ること」にも Nun Studyのことがでてきます。
アルツハイマー病についてもよくわかりますので未見の方はぜひ御覧ください。
リサ・ジェノバさんは、若年性アルツハイマーを題材に映画にもなった小説『アリスのままで』の著者です。
well-bing
well-beingの概念自体は以前からあるようです。
WHO憲章の前文で登場します。
Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.
健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。(日本WHO協会訳)
Positive Psychology
ポジティブ心理学との邦訳で日本語のウィキペディアにもあります。
ポジティブ心理学(ポジティブしんりがく、英語: Positive Psychology)とは個人や社会を繁栄させるような強みや長所を研究する心理学の一分野である。精神疾患を治すことよりも、通常の人生をより充実したものにするための研究がなされている。
現代のポジティブ心理学は、1998年にマーティン・セリグマンが、アメリカ心理学会の会長に選ばれた際に、任期中の課題としてポジティブ心理学の創設を選んだことにより、新しい領域として開始した。
ニューソートの教義・自己啓発法のポジティブシンキングとは異なる。
日本でも2012年に「日本ポジティブサイコロジー医学会」が発足しています。
こちらの公式サイトにもPositive Psychology についての解説が掲載されています。
→日本ポジティブサイコロジー医学会
ビジネスや自己啓発分野でもポジティブサイコロジーをうたうものがありますが、根拠に基づいた確かな知識を身に着けたいものですね。
参考文献 Positive Psychology
今回の研修で先生が紹介してくださったもの